「toxic productivity」の意味と使い方を分かりやすく解説!リアル英語

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「toxic productivity」の意味は?

今回はビジネス心理学用語から「toxic productivity」を紹介したいと思います。現代の競争社会、資本主義社会では多くの方が陥りがちな現象で、私自身長いこと苦しんだ経験があります。それでは早速見ていきましょう。

まず単語を見てみると、「toxic」は「有毒な」「有害な」、「productivity」は「生産性」という意味があります。「toxic productivity」全体では、日本語での一般的な正式訳はありませんが、

有毒な生産性

と覚えれば良いでしょう。

「toxic productivity」という現象が何かを説明すると、現代の資本主義社会、成果主義社会で生きる中で、仕事だけでなく日常生活においても、常に何かを達成している、創り出しているという状態や感覚ないしは、何かを学んだり技術を身に付けたりしながら、自分が成長していると常に感じていないと(アウトプットに繋げるために)自分はダメなんじゃないか、価値が無いんじゃないかと思い込んでしまう思考またはその現象のことです。

これがエスカレートすると、常に何かに追われて忙しいか、もしくは常に自分を忙しい状態にしておかなくてはならないという強迫観念に囚われ、休息を取ることもリラックスすることもままならなくなり、最悪の場合、’燃え尽き症候群’ や ’うつ病’ という精神的な病気にも繋がってしまいます。

それでは意味が分かったところで、例文も見ていきましょう。

「toxic productivity」の使い方は?

【例1】

Toxic productivity is a kind of obsession with being productive by keeping themselves busy with work even when it’s not necessary.
(有毒な生産性は、必要のない時でさえ自らを忙しく保つことで生産的であることへの一種の執着心/強迫観念である。)

*「obsession」:「執着」「強迫観念」「こだわりすぎること」の意。

【例2】

A : Can’t you stop working while we’re eating?
(ご飯食べてる間は仕事するの止めてくれない?)

B : Mmm.. I feel like it’s not productive just eating, doing nothing else…
(うーん.. ただ食べるだけ、他に何もしないって生産的じゃないよね。)

A : I hate to say this, but you’re completely poisoned by capitalism and the rat race you’re in.
(これ言いたくないけど、あなた完全に資本主義やラットレースに毒されてるよ。)

B : You could say that… I know it is not good to be ruled by toxic productivity, but still, I feel guilty when I’m not productive.
(そうかもしれないな… 有毒な生産性に支配されるのは良くないと分かってるんだが、それでも、何かをしていないと気がとがめるんだよ。)

A : If you keep doing this, it’ll eventually take a toll on your mental health.
(こんなこと続けてたら、いつかメンタルヘルスに害を及ぼすわよ。)

*「rat race」の詳細はこちらの記事をクリック
参考 「rat race」の意味と使い方を分かりやすく解説!リアル英語

*「You could say that」:「あなたはそれを言うことができる」から転じ、「そうかもしれないね」のように軽い同意を表す。

*「take a toll on」の詳細はこちらの記事をクリック
参考 「take a toll on」の意味と使い方を分かりやすく解説!リアル英語

まとめ

いかがでしたでしょうか。怖い現象ですよね。程度の差こそあれ、「toxic productivity」に取り憑かれてしまっている方も多いのではないでしょうか。

これは思考の悪い癖のようなもので、一度身に付くと非常に厄介です。当の私も現役時代ほどではないものの、引退した今でも悪い癖が完全に抜け切ってはおらず、時々(もう少し頻繁か?)楽しむべき時に心から楽しめず、リラックスすべき時に心の底では時間がもったいないと感じてしまう自分がいます(かなり改善しましたが)。

一昔前まで、仕事中は忙しいのは当然、仕事外でも食事中はもちろん、トイレに入りながら、歩きながら、運転しながら(今思えば危険すぎる…)、掃除しながら、妻とディズニーランドのアトラクションを待ちながら等々、とにかく ”一つの行動しかしていないという時間をなるべくゼロにしなくては” という感覚に常に振り回され、’ながら勉強’ ’ながら読書’ ’ながらオーディオブック’ ’ながらイメトレ’、あらゆる ’ながら〇〇’ を長いこと続けていました。

更には、一日の終わりに、もっと仕事が詰められたんじゃないか、もっと勉強が出来たんじゃないかという罪悪感に近い嫌な感覚が込み上げ、悔しく、自分に失望するという状態になります。この心理状態を心理学用語で「productivity guilt」(直訳:生産性の罪悪感)と言いますが、ここまで来ると、一つのことにフォーカスするということを完全に忘れてしまっており、今思えば酷い心の病気だったんだと認識しています。

資本主義社会で生きていれば、何らかの形で「toxic productivity」を経験することがあるかもしれませんが、みなさんには常に自分を見つめ、絶対にそれが恒常的にはならないよう気を付けて頂きたいと思います。気を付けましょう!

本日も最後までご覧いただきありがとうございました!

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