「pick up the slack」の意味は?
今回は「pick up the slack」というイディオムを紹介していきます。日常会話でもビジネスシーンでもお目に掛かる便利表現です。それでは早速見ていきましょう!
まずは語彙の確認ですが、「pick up」は「拾い上げる」、「slack」はここでは名詞で「ゆるみ」「弛み」を意味しており、「pick up the slack」全体の直訳は「たるみを拾い上げる」となります。これが実際にどういうニュアンスで使われるかと言うとこちら。
「不足(足りない部分)を補う」
「代わりを務める」
これだけ見ると、何でこんな訳が出て来るのか疑問ですよね?
実は、元々このイディオムは船乗りを起源とするようで、船乗りたちが帆船をコントロールするために、ロープを引っ張るわけですが、風が相手ですので一人や二人ではどうしてもロープに弛み(slack)が起こります。その弛みが起こらないように皆で力を合わせて(庇い合いながら)ロープを張り続ける。こんなところを起源とするイディオムのようです。
基本的にはポジティブな含みを持ちますが、文脈によってはネガティブな意味合いでも使うことが出来ます。例えば、誰かが本来やるべきこと(果たすべき責任等)を行わないために、誰かがその不足を補うようなシーンでは、ちょっと言い過ぎな感じがしますが、
「尻拭いをする」
に近い意味でも使えるわけです。
意味が分かったところで、下で使い方を見ていきましょう!
「pick up the slack」の使い方は?
【例1】
I don’t think Mary is pulling her weight in this project, and it’s apparently causing us inconvenience. I feel like we’re picking up the slack to make up for it.
(メアリーはこのプロジェクトにおいて彼女の責務を果たしておらず、私たちの迷惑になっていると思います。それを補うために彼女の尻拭いをしているように感じます。)
*「pulling her weight」:「自分の役割を十分果たす」「自分の力相応の仕事をする」の意。
*「make up for」:「~の埋め合わせをする」「~を補う」の意。
【例2】
A : Hey Mary, how was your business trip to New York?
(やあ、メアリー、ニューヨークへの出張はどうだった?)
B : It went really well, and I think we’ll be able to close the deal with XYZ corp next month. I have to get the sales agreement done by then.
(すごく上手く行ってね、来月にはXYZ社との取引を決められると思うわ。それまでに売買契約書を完成させないと。)
A : That’s good to hear. Oh, by the way, I picked up the slack on the proofreading of it while you were away.
(それはよかった。あっ、ちなみに、君がいない間に売買契約書の校正、僕の方でカバーしておいたよ。)
B : You did!? Thank you so much!
(そうなの!?すごい助かるわ!)
A : Don’t thank me yet. You’ve got to nail down the deal first.
(まだお礼は言わないでよ。先に取引きを決めなきゃね。)
B : The prospect looked happy, and the paper is all ready. I’m going to take a vacation next month!
(その見込み顧客は満足しているようだし、書類も準備完了だし。来月休暇取っちゃおうかな!)
A : Don’t celebrate too early like that…
(そんな風に早まって喜んじゃダメだよ…)
*「proofreading」:「校正」、つまり印刷物などの誤字・脱字・体裁最終チェックし修正すること意。
*「nail down」:「~を確定させる」「~を確実なものにする」の意。
*「prospect」:ここでは「見込み客」「将来の顧客になりそうな人」の意。
まとめ
いかがでしたでしょうか?起源を知ればとても覚えやすいイディオムだったと思います。
ちなみに、「slack」という単語には、今回の名詞の意味の他に、形容詞で「ゆるい」「弛んだ」という意味や、動詞で「手を抜く」「いい加減にやる」という意味などもあるということも、頭の片隅に入れておきましょう。
それではまた次回!
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